経理の仕訳とは?借方・貸方の基本などわかりやすく解説。
経理の仕事を正しく理解しよう
経理の仕事と聞くと、「簿記」「帳簿」「税金」「数字ばかりで難しそう」といったイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。なかでも「仕訳(しわけ)」は、経理の基本中の基本であり、すべての会計処理の出発点となる重要な作業です。
本記事では、経理業務に携わっている方や、これから経理業務を始めようとしている方に向けて、「仕訳とは何か?」「借方・貸方の基本とは?」「よくある仕訳の例」などをわかりやすく解説します。
仕訳とは?会計処理のはじまり
仕訳とは、企業活動におけるお金やモノの動きを、「勘定科目」というルールに従って帳簿に記録する作業です。たとえば「備品を10万円で購入し、現金で支払った」という取引があった場合、単に「10万円を使った」と記録するのではなく、「備品の購入で資産が増えた」「現金が減った」というように、取引の内容を正確に仕訳します。このような仕訳を日々積み重ねて記録することで、財務諸表(貸借対照表・損益計算書)の作成、経営判断、税務申告が可能になります。
なぜ仕訳が重要なのか?
仕訳は、企業の経理処理における出発点です。正確な仕訳ができなければ、会社の財政状態を正しく把握することができず、経営判断や税務申告にも支障をきたします。仕訳には以下のような役割があります。
財務状況の把握
仕訳を集計して、貸借対照表や損益計算書などを作成し、経営状態を明確にできます。
経営判断の基礎
資金繰り、コスト管理、投資判断など、経営の意思決定に不可欠です。
法令遵守・信頼性の確保
帳簿書類を正確に作成することで、税務申告や法定帳簿作成にも対応可能です。
単式簿記と複式簿記の違い
仕訳には「単式簿記」と「複式簿記」の2種類がありますが、企業会計では一般的に「複式簿記」が用いられます。複式簿記では、1つの取引を「借方(左側)」と「貸方(右側)」の両方に記録します。
例:備品を10万円で購入し、現金で支払った場合
借方:備品100,000円(資産の増加)
貸方:現金100,000円(資産の減少)
このように取引の原因と結果を記録することで、会計情報の信頼性と正確性が保たれます。
仕訳はただの記録作業ではなく、会社の経営を支える大切な「基本のルール」のようなものです。どんなに良いビジネスプランがあっても、毎日の仕訳が雑だと、経営判断を間違えてしまうこともあります。逆に、しっかり正確に仕訳できていれば、会社の土台をしっかり支えることができます。
経理に慣れていない方は、「借方」や「貸方」という言葉に最初は戸惑うかもしれません。でも、仕訳の基本を押さえることが経理全体を理解するための大切なスタートです。もし「経理の基礎を見直したい」「仕訳がちゃんとできているか不安」という方は、税理士法人や経理のプロに相談してみるのもおすすめです。
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借方・貸方の基本をやさしく解説
簿記における「借方(かりかた)」と「貸方(かしかた)」は、複式簿記の基本となる重要な概念です。言葉だけ聞くと「借りる・貸す」という日常の意味を連想しがちですが、簿記における意味は全く異なります。ここでは、簿記初心者の方に向けて、借方・貸方の基本的な考え方から、仕訳のルール、勘定科目との関係までをやさしく解説します。
借方・貸方とは何か?複式簿記の基本構造
簿記とは、事業におけるお金や財産の動きを帳簿に記録・管理する方法のことです。記帳方式には大きく分けて「単式簿記」と「複式簿記」の2種類があり、企業会計では複式簿記が一般的に用いられています。
複式簿記の大きな特徴は、ひとつの取引を「借方」と「貸方」に分けて記録すること。この左右に分かれた記録方式によって、企業の財政状態や経営成績をより正確に把握できるようになっています。
借方:左側に記載。主に資産の増加、費用の増加などを記録
貸方:右側に記載。主に負債の増加、収益の増加などを記録
取引の記録は借方・貸方の2方向に分かれる
事業活動では、日々さまざまな「取引(=財産の増減)」が発生します。たとえば「商品を販売する」「材料を仕入れる」「給与を支払う」などです。これらの取引は以下の5つの分類に整理されます。
資産・負債・純資産(自己資本)・収益・費用
さらに、これらの分類をもとにより細かく分けたものが「勘定科目」です。複式簿記では、取引ごとにこの5分類と勘定科目を使い、借方・貸方に振り分けて記録する=仕訳を行います。
勘定科目の5つの分類
勘定科目は大きく5つに分けられます。それぞれの特徴を簡単に説明します。
1.資産
会社が持っている「価値のあるもの」を表します。現金や預金、売掛金(商品を売ったけどまだ受け取っていないお金)、土地や建物、備品などが含まれます。
例:現金、普通預金、売掛金、建物、備品
2.負債
会社が「返さなければならない借金や支払い義務」を表します。借入金や買掛金(商品を買ったけどまだ支払っていないお金)、未払金などがあります。
例:借入金、買掛金、未払金
3.純資産
会社の資産から負債を引いた「会社の正味の資産」を表します。株主からの出資金や利益の積み立て(利益剰余金)が含まれます。
例:資本金、利益剰余金
4.収益
会社が「お金を得る活動」から入ってくるお金のことです。商品の売上やサービスの提供による収入がこれにあたります。
例:売上高、受取利息
5.費用
会社が「お金を使う活動」から出ていくお金のことです。仕入れ費用や人件費、光熱費、減価償却費などが該当します。
例:仕入高、給料手当、地代家賃、減価償却費
借方・貸方の考え方は、仕訳や帳簿記録の基本であり、複式簿記を学ぶうえで避けて通れないポイントです。最初は混乱するかもしれませんが、「何が増えて何が減ったか」をしっかり意識することで、仕訳の理解はぐっと深まります。
企業の会計業務や経理の現場では、日々この借方・貸方によって帳簿がつけられています。これから簿記を学びたい方、経理を担当する方は、まずこの基本をしっかりと身につけましょう。
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よくある仕訳の具体例や注意点
仕訳は、会社で発生した取引を会計帳簿に記録する第一歩であり、財務状況の把握や決算書の作成に不可欠な作業です。ここでは、日常的によく見られる代表的な仕訳例を紹介します。これらの例を通して、仕訳の基本を押さえましょう。
代表的な仕訳例
売上取引の仕訳
【例1】商品を50,000円で販売し、現金で受け取った
借方:現金50,000円/貸方:売上50,000円
【例2】商品を100,000円で販売し、後日入金(売掛)となった
借方:売掛金100,000円/貸方:売上100,000円
経費支払いの仕訳
【例3】交通費5,000円を現金で支払った
借方:旅費交通費5,000円/貸方:現金5,000円
【例4】家賃120,000円を預金から振込で支払った
借方:地代家賃120,000円/貸方:普通預金120,000円
給与・賞与の仕訳
【例5】給与300,000円を現金で支給(源泉所得税15,000円、社会保険料35,000円控除)
借方:給与手当300,000円/貸方:現金250,000円、預り金(源泉所得税)15,000円、預り金(社会保険料)35,000円
決算時の仕訳(減価償却など)
【例6】パソコン(取得額120,000円、耐用年数4年)の1年目の減価償却
借方:減価償却費30,000円/貸方:減価償却累計額30,000円
仕訳を行う際の注意点とポイント
仕訳作業は単なる記録ではなく、会社の経営状況を正確に反映させるための大切なプロセスです。ミスを防ぎ、効率的に業務を進めるため、以下の点に注意しましょう。
借方・貸方の金額が一致しているか確認する
複式簿記では、借方と貸方の金額が常に一致していなければなりません。一致していない場合は、入力ミスや計算違いなどが考えられます。
※勘定科目が複数ある場合でも、借方合計=貸方合計になっていれば問題ありません。
勘定科目の正確な選択
すべての勘定科目を暗記する必要はありませんが、頻出のもの(例:現金、普通預金、売掛金など)は覚えておくと便利です。また、「この科目は借方か貸方か」という分類も押さえておきましょう。
必要に応じて補助簿を活用する
補助簿(補助記入帳・補助元帳)は、主要簿を補完するために使います。売掛金・買掛金・普通預金などの頻繁な取引は補助簿を利用することで、管理が格段に楽になります。
仕訳は、取引を記録するだけでなく、決算書の元となるデータでもあります。仕訳帳をもとに総勘定元帳が作成され、そこから貸借対照表や損益計算書が導き出されます。仮に仕訳に誤りがあると、そのまま決算書に反映されてしまう可能性があるため、正確さが非常に重要です。
そして、日々の業務に追われがちな経理担当者の業務効率を高めるためには、クラウド会計ソフトの導入も検討してみましょう。仕訳精度の向上と時間の節約を両立させる大きな武器になります。必要に応じて、会計事務所や税理士のサポートを受けながら、自社に合った仕訳体制・ツール選定を進めていきましょう。
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仕訳でわかる、会社のお金の流れ
仕訳は会社のお金の動きを帳簿に正しく記録する、一番大切な作業です。取引の内容を「借方」「貸方」に分けて書くので最初は難しく感じるかもしれません。仕訳がしっかりできていれば、会社の経営状態を正しく把握でき、経営判断にも役立ちます。
ただし、仕訳のミスは決算書や税務申告に影響するため、注意が必要です。これから簿記や会計を学ぶ方は、まず仕訳の基本をしっかり身につけましょう。経理業務の効率化や正確さを高めるためにも、自社の経理体制を見直すことも大切です。困ったときや不安がある場合は、会計事務所や税理士に相談してみましょう。
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